パテの種類と使い方 入門【ラッカーパテ・ポリパテ・エポパテ・光硬化】
「ヒケを埋めたい」「隙間を消したい」「盛って形を作りたい」——用途によって選ぶパテは変わります。この記事では代表的な4種類のパテの特徴と使い分けを、初めての方でも迷わないように整理します。
パテとは?何のために使うのか
パテは、プラモデルのヒケ(表面のわずかな凹み)や合わせ目の隙間、気泡やキズを埋めたり、あるいは形状を盛って作るために使う充填・造形材です。硬化後にヤスリで削って形を整えられるのが最大の特徴で、パーツ表面をなめらかに仕上げるための必需品と言えます。
ただし「パテ」とひとくちに言っても、成分や硬化方式によって性質が大きく異なります。用途に合わないパテを選ぶと、痩せて凹みが再発したり、削りにくかったり、そもそも埋まらなかったりします。まずは4つの主要タイプを理解しましょう。
ラッカーパテ(溶きパテ)の特徴
チューブから出してそのまま使える1液タイプで、溶剤が揮発することで硬化します。きめが細かく、ラッカーシンナーで薄めて筆やスポイトで塗る「溶きパテ」としても使えるため、細かいヒケや浅いキズの充填に向いています。
一方で、溶剤が抜ける分だけ体積が減る「痩せ(ヒケ)」が起きやすく、深い凹みや厚盛りには不向きです。厚く盛ると表面だけ乾いて内部が硬化せず、後で凹むことがあります。薄く重ね塗りしながら使うのが基本です。
ラッカーパテはプラを溶かす溶剤を含みます。厚く盛ると溶剤が長時間パーツに留まり、プラの表面が溶けて荒れたり、薄いパーツが変形・ヒビ割れを起こすことがあります。痩せの問題以前に、プラ自体を傷めるリスクがあるということです。ラッカーパテは「薄く塗って乾かす」を繰り返すのが原則で、深い凹みや大きな隙間には痩せも侵食も少ないポリパテ・エポキシパテを使ってください。特に0.5mm以下の薄いパーツや、クリアパーツへの使用は避けるのが安全です。
ラッカーパテを塗料皿に少量出し、ラッカーシンナー(またはうすめ液)でクリーム〜牛乳程度の濃さに薄めます。筆でキズに塗り込み、乾燥後にヤスリで均すと、細かい傷を効率よく消せます。
ポリパテ(ポリエステルパテ)の特徴
本剤(主剤)と硬化剤の2液を混ぜて化学反応で硬化するタイプです。硬化が比較的速く、痩せがほとんどないため、ある程度の厚盛りや面出しに向きます。硬化後は非常に硬く、削り出して面を整える作業(面出し)に強いのが特徴です。
ただし、独特の刺激臭があり換気が必須です。また、少量だけ混ぜるのが難しく、混合比率を守らないと硬化不良になります。プラへの食いつきをよくするため、事前に接着面を荒らしておくと剥がれにくくなります。
エポキシパテ(エポパテ)の特徴
粘土のように2種類の素材を等量練り合わせて硬化させるタイプです。手で自由に形を作れるため、造形・盛り足し・大きなボリューム作りに最適です。硬化前は水をつけて表面をならせるため、指やヘラで思い通りに形を整えられます。
硬化にはやや時間がかかりますが(種類により数時間〜十数時間)、痩せがほとんどなく、硬化後は削る・穴を開ける・彫るといった加工も可能です。エポパテには硬さの異なる製品があり、細密造形向きのきめ細かいタイプと、大きな盛り向きのタイプがあるので用途で選びましょう。
エポキシパテやポリパテの未硬化材は皮膚に刺激があります。長時間素手でこねるとかぶれることがあるため、心配な場合は使い捨て手袋を使い、作業後は手をよく洗ってください。
光硬化パテ(UVパテ)の特徴
紫外線を当てることで数十秒〜数分で硬化する時短タイプです。太陽光やUVライトを当てるまでは硬化しないため、じっくり形を整えてから一気に固められるのが便利です。痩せが少なく、小さな隙間や部分的な埋めに向いています。
硬化には十分な光量が必要で、光が届かない奥まった部分は硬化しにくい点に注意します。厚盛りすると表面だけ固まり内部が未硬化になることがあるため、こちらも薄めに重ねるのが無難です。硬化直後は表面に未硬化のべたつきが残る場合があります。
4タイプを1枚で比較
| タイプ | 硬化 | 痩せ | 盛れる量 | 削りやすさ | 得意な作業 |
|---|---|---|---|---|---|
| ラッカーパテ | 溶剤が揮発 | 大きい | 薄く少量のみ | ◎ やわらかい | 細かいヒケ・浅いキズ |
| ポリパテ | 2液を混合 | ほぼ無し | 中〜大盛り | ◎ 面が出しやすい | 面出し・合わせ目 |
| エポキシパテ | 2種を練る | ほぼ無し | 大盛り・造形可 | ○ 硬めで粘る | 造形・盛り足し |
| 光硬化パテ | 紫外線で硬化 | 少ない | 薄く少量 | ○ | 時短・部分埋め |
迷ったら「埋めたい深さ」で選ぶのが確実です。浅い傷はラッカーパテ、深い凹みや形を作るならポリパテ・エポキシパテ。ラッカーパテで深い凹みを埋めようとするのが、最も多い失敗パターンです。
パテ作業の基本手順
種類は違っても、パテを使う流れは共通です。以下の4ステップを押さえておけば失敗が減ります。
- 下地処理:埋める部分の油分を落とし、食いつきをよくするため軽くヤスリで荒らします。
- 盛る:削る前提で、仕上がりより少し多めに盛るのがコツ。ラッカーパテと光硬化パテは薄めに。
- 硬化:種類に応じた時間・方法でしっかり固めます。生乾きで削ると失敗します。
- 削って整える:荒い番手から細かい番手のヤスリへ段階的に。最後にサーフェイサーで仕上がりを確認します。
パテを選ぶときのポイントと注意点
初めての一本なら、細かいヒケ埋めに万能なラッカーパテ(溶きパテ)から始めるのが扱いやすくおすすめです。合わせ目消しや面出しをしたくなったらポリパテ、改造や造形に踏み込むならエポパテ、と段階的に増やすとよいでしょう。
おすすめのラッカーパテ
ラッカーパテやポリパテは有機溶剤を含み、独特の臭気があります。必ず換気の良い環境で作業し、火気を避けてください。開封後は硬化剤の劣化に注意し、使用後はキャップをしっかり閉めて子どもの手の届かない場所に保管しましょう。
また、いずれのパテも厚盛りは避けて薄く重ねるのが失敗しないコツです。硬化後に大きなヒケが出た場合は、もう一度薄く盛って削り直せば問題ありません。焦らず段階的に進めることが、きれいな面を作る近道です。
よくある質問(FAQ)
Q. 最初に買うならどのパテがおすすめですか?
細かいヒケや浅いキズを埋める万能タイプのラッカーパテ(溶きパテとしても使える)が扱いやすくおすすめです。シンナーで薄めて筆塗りでき、乾燥後にヤスリで均すだけなので初心者でも失敗しにくいです。造形や大盛りをしたくなったら、エポキシパテやポリパテを段階的に追加すると良いでしょう。
Q. ラッカーパテを厚く盛ってはいけないのはなぜですか?
ラッカーパテは溶剤が揮発して硬化するため、厚く盛ると表面だけ乾いて内部が未硬化になり、後から大きく痩せて凹みが再発します。深い凹みには痩せの少ないポリパテやエポキシパテを使うか、薄く何回にも分けて重ね塗りするのが基本です。
Q. ポリパテとエポキシパテの違いは何ですか?
ポリパテは主剤と硬化剤の液体を混ぜて使い、硬化後は硬く面出し(平面作り)に強いのが特徴です。エポキシパテは粘土のように2種を練り合わせ、手やヘラで自由に形を作れるため造形や大盛りに向きます。用途で使い分けましょう。
Q. 光硬化パテはライトがないと使えませんか?
紫外線で硬化するため、晴天時は太陽光でも硬化しますが、安定して短時間で固めるにはUVライトがあると便利です。光が届かない奥まった部分や厚盛りは硬化しにくいので、薄めに使い十分に光を当てることが重要です。
Q. パテを削るときの注意点は?
必ず完全に硬化してから削ってください。生乾きの状態で削ると目詰まりしたり、後で痩せて凹みます。荒い番手のヤスリで大まかに削り、徐々に細かい番手へ移行します。仕上げにサーフェイサーを吹くと、埋め残しやキズが見えて確認しやすくなります。