パーティングラインとヒケの消し方
― どこにある?なぜできる?
初心者のためのきれいな表面処理 ―
パチ組み(素組み)でも、よく見るとパーツの表面に走る薄い「線」や、ぼんやりした「へこみ」が気になることはありませんか?これがパーティングラインとヒケです。実はこの2つを消すだけで、完成品は一気にプロっぽく見えます。塗装をしない人でも効果絶大。この記事では、なぜできるのか・どこにあるのか・どう消すのかを、図解たっぷりで初心者向けに解説します。
パーティングラインとは?
プラモデルのパーツは、2つに割れる金型(上型と下型)に溶けたプラスチックを流し込んで作られます。型を閉じたときの合わせ目(割り型の境界)には、どうしてもごくわずかな隙間ができます。その隙間にプラスチックが入り込むことで、パーツ表面に細い線が残ります。これがパーティングライン(合わせ目の線)です。
ゲート跡が「点」なのに対して、パーティングラインはパーツをぐるりと一周するように走る「線」であることが多く、円筒形のパーツ(腕・脚・ビーム刃・武器の銃身など)の側面でよく目にします。
ヒケ(sink mark)とは?
もう一つの天敵がヒケです。英語ではsink mark(沈み跡)と呼びます。溶けたプラスチックは冷えると体積が縮みます(収縮)。厚みのある部分ほど、冷えるのに時間がかかり、内部が縮むときに表面を内側へ引っ張ります。その結果、表面に浅いへこみができます。これがヒケです。
ヒケは、パーツの裏側に肉抜き穴・ダボ(ボス)・リブ(補強の壁)がある部分の「表側」に出やすいのが特徴です。盾や装甲の平らな面、武器のグリップ裏の表面などをよく見てみましょう。線(パーティングライン)とは違い、ぼんやりとした面のへこみなので、慣れないと見落としがちです。
見つけ方:光に当てて斜めから見る
処理する前に、まず「どこにあるか」を正確に見つける必要があります。コツは2つです。
- 光に斜めにかざす:蛍光灯や窓の光にパーツをかざし、ゆっくり角度を変えながら表面を見ます。ラインやヒケが影として浮かび上がります。真正面から見ても分かりません。必ず斜めから。
- 指でなでる:指の腹で軽くなでると、ラインの段差やヒケの引っかかりを感じ取れます。
それでも分からない、または塗装前にすべて見つけ切りたいときの最終手段がサフ(サーフェイサー)を薄く吹くこと。表面が単色になることで、ラインもヒケも一発で見えるようになります。
パーティングラインの消し方
線の処理は「カンナがけ → ヤスリ」の2段階が基本です。いきなりヤスリで削ると周りまで削れて面がガタガタになりやすいので、まずナイフでラインだけを薄く削ぎ取ります。
- カンナがけ:デザインナイフの刃を寝かせて(ほぼ平らに)当て、ラインの上を少しずつ薄く削ぐ。木材をカンナで削るイメージ。一気に削らず、何度も軽く。
- ヤスリ #400:カンナで取り切れなかったラインと段差を均す。
- ヤスリ #600:#400 の削り跡(ヤスリ目)を消して表面を整える。
- 確認:再び光に斜めにかざして、線が消えたか確認。残っていたら #400 に戻る。
ヒケの消し方
ヒケは「へこみ」なので、ラインのように削って取るのではなく、原則として「埋めてから平らに削る」のが基本です。アプローチは2つあります。
① 埋めて削る(深いヒケ向け)
- 盛る:へこみに瞬間接着剤(高粘度・硬化スプレー併用が楽)または溶きパテを少量盛る。少し盛り上がるくらいでOK。
- 硬化を待つ:瞬着なら硬化促進スプレーで数秒、溶きパテなら数十分〜しっかり乾燥させる。
- 平らに削る:盛り上がった分を #400 → #600 のヤスリで周囲の面と同じ高さまで削る。当て板を使うと面がきれいに保てる。
② 当て板ヤスリで均す(浅いヒケ向け)
ごく浅いヒケなら、埋めずに当て板(金属板やプラ板にヤスリを貼ったもの)で面ごと削って平らにする方法でも消えます。ヒケの周囲を少し削ることで、へこみと同じ高さまで面全体を下げるイメージです。曲面では使えませんが、平らな装甲には有効です。
仕上げの番手と最終確認
どの番手まで磨くかは「このあと何をするか」で決まります。やみくもに細かい番手まで磨く必要はありません。
- 塗装する場合:#600〜#800 で止めるのが基本。ここでサフが食いつく適度なザラつきが残ります。磨きすぎるとかえって塗料が乗りにくくなります。
- 素組み+ツヤ消しトップコートだけの場合:#600 程度で十分。ツヤ消しが細かいヤスリ跡を覆い隠してくれます。
- 素組みで光沢(ツヤ)を残したい場合:#800 → #1000 →(仕上げ用スポンジ)まで番手を上げて磨くと、削った部分のテカリが周囲となじみます。
最後は必ずもう一度、光に斜めにかざして確認。ラインの残り、ヤスリ目(細かい傷)、削りすぎによる段差がないかをチェックして完了です。
初心者がやりがちな失敗
- 削りすぎ:ラインを消そうと夢中になって、周りまでえぐってしまう。→ 番手を上げて(#600から)少しずつ。
- エッジを丸めすぎ:角(カド)にヤスリを斜めに当てると、シャープなエッジが丸くなりモールドがボケる。→ 当て板を使い、面と平行に動かす。
- 曲面を平面(硬い当て板)で削る:丸いパーツに硬い板を当てると、当たった部分だけ平らに削れて変形する。→ 曲面はスポンジヤスリで追従させる。
おすすめの道具
表面処理は「削るヤスリ」と「埋める材料」が揃えばすぐ始められます。新たに買い足すなら次の3点があれば一通りこなせます。
① スポンジヤスリ(曲面・線の処理に)
② 仕上げ番手(#600)
③ ヒケ埋め用の瞬間接着剤
よくある質問(FAQ)
Q. パーティングラインとゲート跡は何が違うの?
ゲート跡はランナーとパーツをつないでいた部分を切り離した「点」の跡で、パーツの決まった場所に出ます。パーティングラインは金型(上型と下型)の合わせ目にできる「線」で、パーツをぐるりと一周するように走ることが多いです。原因も場所も違うので、見分けて処理しましょう。
Q. ヒケはどんなパーツに出やすいですか?
厚みのあるパーツや、裏側にダボ(ボス)や肉抜き、リブがある部分の表面に出やすいです。プラスチックは冷えると収縮するため、肉厚の差が大きいところほど表面が内側に引っ張られて浅いへこみ(ヒケ)になります。盾・装甲・武器のグリップ裏などが要注意です。
Q. パーティングラインやヒケはどうやって見つければいい?
パーツを蛍光灯や窓の光に斜めにかざし、表面を傾けながら見ると、線やへこみが影として浮かび上がります。指の腹で軽くなでて引っかかりを探すのも有効です。確実に見つけたいときはサーフェイサー(サフ)を薄く吹くと、ライン・ヒケが一発で見えるようになります。
Q. ヤスリは何番手を使えばいいですか?
まず #400 でラインやヒケを削り取り、#600 で削り跡を整えるのが基本です。塗装するなら #600〜#800 で止めればサフがしっかり食いつきます。素組みでツヤ消しトップコートだけなら #600 程度でも十分です。ピカピカのツヤを出したいなら #1000 以上まで番手を上げます。
Q. 削っていたらエッジ(角)が丸くなってしまいました。どうすれば?
ヤスリを面に対して斜めに当てたり、力を入れすぎるとエッジが丸まります。当て板(金属やプラ板にヤスリを貼ったもの)を使い、面を平らに保ったまま削るのがコツです。丸くなった角は、削りすぎる前に止めるしかありません。心配なら最初は番手を上げて(#600から)少しずつ削り、確認しながら進めましょう。